はじめに
帯状疱疹は、50歳以上の方の約3人に1人が経験するとされる深刻な感染症です。痛みを伴う発疹だけでなく、重症化すると長期的な神経痛に悩まされる可能性もあります。しかし、適切なワクチン接種により、そのリスクを大きく減らすことができます。この記事では、帯状疱疹ワクチンの効果や選び方について、解説します。
目次
- 帯状疱疹の原因と症状
- 帯状疱疹ワクチンの種類と特徴
- 副反応と安全性
- どのような人が接種の対象となるか?
- 費用と助成制度
- 接種を受けたほうがいいか?
本文
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、小児期に水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が初感染したあとに、脊髄神経節に潜伏感染を起こし、加齢や免疫能低下とともにVZVが再活性することで発症します。
帯状疱疹は体のどの部分にも発症しますが、最初は片側性にチクチクするような神経痛から始まり、1-2日後に同部位に発疹と水疱が混在した皮疹を認めるようになります。
水痘罹患歴のある3人に1人が80歳までに帯状疱疹を発症すると言われています。
帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹の最も厄介な合併症の一つで、急性期においての神経組織の損傷により発症し、痛みが数ヶ月から数年にわたって持続し、QOLに関わってきます。
帯状疱疹後神経痛の頻度は帯状疱疹の患者の5-30%に発症すると考えられています。
帯状疱疹はその発生部位により様々な合併症があり、時にはそれらが重症化することがあります。
帯状疱疹に一度罹患したあと、再び帯状疱疹を発症する頻度は1-6%と報告されています。
予防のためには帯状疱疹ワクチンの接種が有効です。
帯状疱疹ワクチンの種類と特徴
帯状疱疹ワクチンには、弱毒生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。日本では現在、不活化ワクチンが推奨されています。不活化ワクチンは、弱毒生ワクチンよりも効果が高く、90%以上の予防効果があるとされています。ワクチン接種によって、帯状疱疹の発症リスクを大幅に減らし、たとえ発症した場合でも症状を軽くすることができます。また、帯状疱疹後神経痛の発症リスクも低減することが期待されます。
- シングリックス(乾燥組み換え帯状疱疹ワクチン)
- 投与経路:2回筋肉内接種。
- 適用拡大:最初は50歳以上が対象であったが、2023年6月からは「帯状疱疹に罹患するリスクが高い18歳以上の者」に適用が拡大された。
- 予防効果:90%以上に帯状疱疹発症予防効果が認められている。効果持続に関しても、2回目接種後10年で予防効果は73%で、15年、20年後もほぼ横ばいで効果が持続しています。
- 副反応:接種部位の副反応は80%に認められ頻度が高い。また程度の強い副反応も10%程度に認められていますが、すべて1-2日で改善し一過性です。
- ゾスタバックス(乾燥弱毒生水痘ワクチン)
- 投与経路:1回皮下接種
- 予防効果:接種後3年で約50%の発症予防効果があります。経年的に有効性の低下が指摘されていて、接種後4-7年で39%、7-11年で21%程度まで発症予防効果が低下します。
- 副反応:主な副反応は接種部位局所の反応で、それ以外で問題となる副反応は認められません。
副反応
局所反応
帯状疱疹ワクチンの一般的な局所の副反応として、注射部位の痛み、赤み、腫れが挙げられます。これらの症状は、接種後数日以内に消失することが多く、通常は深刻な問題を引き起こすことはありません。具体的には、注射部位の疼痛は79.1%、発赤は37.4%、腫脹は24.2%の割合で報告されています。これらの副反応は、ワクチン接種による免疫反応の一環として現れるものであり、通常は一時的なものです。
全身反応
帯状疱疹ワクチン接種後の全身症状として筋肉痛、疲労感、頭痛、発熱が報告されています。これらの症状は、通常数日で消失し、長期間にわたる影響を及ぼすことは稀です。具体的には、筋肉痛は36.9%、疲労感は34.6%、頭痛は28.3%、発熱は16.7%の割合で発生します。これらの症状は、体内で免疫が形成される過程で生じるものであり、通常は軽度で一時的なものです。
ワクチンの種類による副反応の差
不活化ワクチンは、生ワクチンに比べて副反応が強く出ることがありますが、その安全性は確認されています。特に「シングリックス®」は、予防効果が高い一方で、接種後に強い免疫反応を引き起こすため、副反応がやや強く現れることがあります。しかし、これらの副反応は通常一時的であり、ワクチンの高い予防効果を考慮すると、接種の利点が上回るとされています。
どのような人が接種の対象となるか
50歳以上の人
帯状疱疹ワクチンの主な接種対象者は50歳以上の人々です。これは、50歳を過ぎると帯状疱疹の発症率が高まるためです。特に、加齢に伴い免疫力が低下しやすくなることから、ワクチン接種が推奨されています。ワクチン接種により、帯状疱疹の発症を予防し、発症した場合でも症状を軽減することが期待されています。
18歳以上の免疫の低下した人
免疫力が低下している18歳以上の人も、不活化ワクチンの接種対象となります。これは、免疫力が低下していると帯状疱疹の発症リスクが高まるためです。特に、免疫抑制状態にある人々や特定の疾患を持つ人々は、ワクチン接種によって帯状疱疹の予防が可能です。医師と相談の上、適切なワクチンを選択することが重要です。
費用
標準的な費用:
- シングリックス:1回あたり約2万円前後(2回接種で計4万円前後)
- ゾスタバックス:1回あたり約7000円から10000万円
助成制度
- 自治体による助成制度あります。(地域により異なる)
- 一部の健康保険組合で補助制度あり ※お住まいの地域の保健所や医療機関に確認することをお勧めします
接種を受けたほうがいいか?
帯状疱疹は50歳以上の方に、80歳までにほぼ3人に1人の頻度で発症する疾患で、そのうちの5-30%の方に帯状疱疹後神経痛という厄介な合併症を引き起こすことがあります。帯状疱疹後神経痛はその強い痛みにより患者さんの日常生活に何ヶ月という期間で大きな影響を与えます。
帯状疱疹ワクチン、特にシングリックスは帯状疱疹の発症と帯状疱疹後神経痛の発症を10年以上にわたり70%以上抑える効果があります。
このため、50歳以上の方でそれまで一度も帯状疱疹に罹患していない場合には帯状疱疹ワクチン(シングリックス)の接種をおすすめします。
注意点:
- 50歳以上が推奨対象
- 基礎疾患のある方は事前相談が必要
- 妊娠中の方は接種を避ける
まとめ
帯状疱疹ワクチンは、特に50歳以上の方にとって重要な予防手段です。高い予防効果と安全性が実証されており、QOL維持に大きく貢献します。ご自身の状況に合わせて、適切なワクチンを選択し、早めの予防を心がけましょう。